面白い映画を見た。
パリの街で、ひとりの女性が全裸で歩いているシーンから物語は始まる。
その場にいた男性陣は皆、そのキレイな裸の女性に夢中である。
しかし。
その中で、たった一人の男だけがその女性を見ていなかった。
彼は、裸の女性に夢中な男性たちのポケットから財布やスマホ、さらには腕に巻いてある時計まで、いろんなものを盗み出していく。
決して本人たちに気づかれることなく。
彼女は、その後、彼と落ち合い、「今日のモデル代金は300ユーロよ」と微笑んだ。
―― 映画「フレンチ・ラン」より
これだけターゲットの視線を逸らせることができればスリに成功したも同然です。
キレイな女性がいきなり全裸だったら、男だったら皆見ちゃうじゃん?


いや、そんなの変態な海田さんだけでしょ?
みたいなノリ悪いこと言わないで。
まぁ否定はしないけど、見ちゃうんだよ。
しかもね、その裸の女性を見てるときって、きっとその女性のことしか考えてないよね。
意識の全てが、その女性に向いている。
物凄いミスディレクションなんです。
【マジシャン必見】これが、本当のミスディレクション

マジックを勉強していると、たまに

視線を逸らせるのがミスディレクションです。
なんて話をよく聞くと思うんですが、違うんです。
視線だけじゃなくて、意識の段階から逸らせるということ。
これが、ホンモノのミスディレクションです。
たとえば「アンコール」で、
「言葉の言い回しひとつで客の意識を逸らせることができる」
って話をしたんですが、
客に選んでもらったカードをデックに戻してもらい、

それでは、カードをシャッフルします。
と言ったとしたら?

客はこう思うでしょう。

それほんとに混ざってるの?
わたしにも混ぜさせて?
じゃあ、どうすれば客に懐疑心を抱かれることなくマジシャンの平和が保たれるのか。

それでは、カードをシャッフルします。・・・ラスベガスのカジノで行われてるみたいに。

このひとことを付け加えた後にリフルシャッフルをするだけで、

あー、確かにそんな混ぜ方しそう!
上手いね!
ってなるんです。
意識が飛ぶんですね。
タネから遠のいていくんですよ。
もしかしたらギャグに発展するかもしれない。

実はむかし、ラスベガスで働いてたんで(ウソ)。

へぇー、そうだったんだ~!
みたいな。

いや、ウソだからね? 信じないでね? キミすぐ騙されそうだからお父さん心配になっちゃった(笑)
客がワッハッハしているときにマジシャンは堂々とトップコントロールをしてたんだけど、そんなこと誰も気づかないんです。

誰も気づかないどころか、どうでもいいんですよ、そんなこと。
ラスベガスの話で盛り上がったから。
そんなふうに一旦意識を全く別のところに持ってきておいて、またデックに注目してほしくなったら真剣な話をすれば良いんです。

それでは、これからあなたの選んだカードを探します。
みたいな感じでね。

講師によっていろんなマジックの演じ方・教え方があるけれど、大事なことはたったひとつしかないかもしれないよ。

きちんと客の心理を先読みしてミスディレクションを使いこなしましょう。
それだけであなたのマジックがもっとあなたらしさ溢れるものになる。
もっともっと、自然なものになる。
マジックマジックしなくなる。
「マジックだけ凄い人」じゃなくなる。

あなたって本当におもしろいよね!
ってなる。
そんな目標を胸に、マジックの練習をしてみてはどうでしょうか。
悩んだ時、全然上達しない時は、僕がいつもそばにいるので。



マジックショップ「MAGIC SECRETS」の店長。
運営理念は、「“本当に使える”マジックしか販売しない。」
自らの商品をきっかけに初心者からプロマジシャンになった顧客が大勢いる。
小学生から高齢者まで、本気でマジックを学びたい方を徹底的にサポート中。
他では買えない価値のある商品を生み出すことに全力を注いでいる。
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