このシリーズのいちばん最初の回でもお伝えしたのですが、マジックには“ギミック”という小道具(手品用品)があります。

ひとことで“ギミック”といっても範囲が広すぎるのでどのように伝えればいいか迷ったりするんですが、
お客さんに調べさせることができるギミックと、そうでないギミック
の2種類があります。
また、演技中お客さんに気付かれないように使うギミックもあります。
ネット上にマジックショップはたくさんあるので、買おうと思えば誰でもすぐ手に入れることはできるんですが、僕はギミックはあまりオススメすることができません。
特に初心者の方には。
子供騙しの“いかにもなマジック道具”を使ってマジックをするのなら話は別なんですが、ゼロからマジックを覚えたいと思っている方は、ギミックは後回しにしたほうが無難です。
なぜなら、買ってもどうせそのギミックを使いこなせないし、解説書にも演技後の処理の仕方などが全く書かれてないからです。
にも関わらず、「初心者でも大丈夫」的なオーラを漂わせて販売しているマジックショップがあるのも事実。
ギミックはマジック中級者以上が楽しむためにあるので、初心者の方が手を出すようなものではありません。

いちばん最初の自己紹介の時の記事でも、こんなことを書いた気がします。
マジックを学ぼうとする方というのは大きく分けて3種類いて、
- マジックの本やDVDを買ってテクニック的なマジックから覚えていく人
- デパートの手品売り場にある小道具的な売りネタをいくつか買ってマジックをはじめる人
- YouTubeの種明かし動画で不正確な知識と技術を身に着けてしまう人
がいます。
マジックの専門用語がバンバン出てくる本から入ると、“改め方(タネがないように見せるための示し方)”を学ぶことができるのですが、ギミックから入ってしまうと改め方やタネの隠し方が全くわからず、その道具自体を使いこなせないのです。

確かに初心者はマジックの専門書から入ったらほとんど挫折するんだと思いますが、ギミックから入ってしまうと、ホンットにテキトーな方法で演じてしまい、タネがバレる危険性もあるので絶対にやめたほうがいいと思います。
「これ見てよ~怪しくないよ~」ということを示す“改め方”にもいろいろな方法があるので、基本的且つ専門的なテクニックを身につけておくことはとても大事なことです。

そういうことをマスターした上でギミックを使うからこそ、そのマジックが美しく見えるし、ありえない現象が起こったように見せることができるのです。
初心者だからといってギミックやその他マジック道具に頼らず、きちんとした専門的なテクニックを使ってありえない世界を作り出すほうが本当の意味で素晴らしいのではないでしょうか?
特にこれからアマチュアになるあなたは、借りたものやそこにあるもので演技可能なマジックがいちばん良いかもしれません。
輪ゴムや割り箸、安全ピン、コインといった日用品です。
もちろんトランプマジックも十分範囲内でしょう。
あ、コインマジックで少し思い出したことがあるので解説を加えますが、実はプロマジシャンの多くは海外のコインを使ってマジックをします。

理由はいろいろあって、いちばんの理由は、“コインが日本円より大きいから”というものです。
日本円でいちばん大きいコインは500円玉ですが、マジシャンが使うハーフダラーやワンダラーといった硬貨は、500円玉よりももう一回り大きく作られています。
実は大きいコインのほうが手の平に隠しやすかったり、お客さんからすると、大きいコインのほうが演技を見やすいわけです。
しかし、日本人を相手にマジックをするわけですから日本円を使ったほうが良いに決まっています。
海外のコインだと、演技の前にいちいちこう説明しないといけません。

これはハーフダラー。いわゆる銀貨です。一方こちらのコインは銅貨ですね。
マジック見てるだけなのに、そんな説明受けるのってなんだかめんどくさくないですか?
マジックはサラッとやってこそカッコいいんじゃないのかな、と。

この辺、お金を払って見てくれる“お客さんがすでにいる”プロマジシャン用であると言えます。
マジックをはじめたばかりのアマチュアがいきなり“いかにもなマジック”を演じてはいけないと思うのです。
しかも、最初のうちから海外のコインに慣れてしまうと、いざという時の日本円のコインマジックで失敗してしまいます。
海外のコインと日本のコインは大きさが違うので、「500円玉でやってよ」と言われた時にミスをしてしまうかもしれません。
マジックのテクニックというのは“慣れ”ですから、最初から日本円に慣れておくことはとても大事なことなのです。
そういうわけで海外のコインもギミックと同様オススメできません。
少し話がそれてきた感じがしますが、今日はなぜギミックの話をしていたのかというと、“改め”と深い関係があるからです。
マジックをすると、どこにもタネがないことを公明正大に示すために、道具やコイン、カードの“改め”が必要不可欠になってきます。

で、この“改め”なんですが、基本的な技法やテクニックをきちんと押さえていないと上手く演じることができず、マジックが失敗してしまうのです。
“タネがバレない”ということは、“お客さんを楽しませる”のと同じくらいマジックを演じる上では重要です。
タネがバレてしまったら、逆の意味でお客さんがニコッと笑うかもしれません。
これを知らないままギミックを使ってマジックを演じる恐ろしさをわかっていただければな、と思います。
「基本」は全てに応用が利くものですから、決して怠ってはいけないのです。
「タネなんてどこにもないよー」という改め。
“マジックをより美しく、そして、より不可能な現象を造り出すためにも改めは重要である。”
悲しいことに、名言風にしてみても初心者に適切な解説なしにギミックを売るマジックショップは後を絶たないわけで、誰もそれを指摘せず、初心者の方は下手くそな演技をしてしまうという・・・。
だからこそ基本が大事なのですが、初心者の方は書籍では理解に苦しみ、途中でサジを投げ出してしまう人が多い。
YouTubeの種明かし動画は、正しい知識を解説してくれる人なんてひとりもいませんし。
こんなこと言うと、

マジックを学ぶのは、なんて無理ゲーなんだ?!
と感じるかもしれませんが、全然そんなことありません。
マジックは“学ぶ順番”が何より大切なので、きちんとした知識をきちんとした順番で学びさえすれば上達が早いわけです。
ようは、教科書に沿っているかどうか。

レベルに合った適切な順番で学ぶことができれば、絶対に習得できます。
長くなりそうなので今日はこの辺で終わりますが、適切な順番で技法(テクニック)を覚えることは本当に大事なのだということが伝わればな、と思います。
海田

マジックショップ「MAGIC SECRETS」の店長。
運営理念は、「“本当に使える”マジックしか販売しない。」
自らの商品をきっかけに初心者からプロマジシャンになった顧客が大勢いる。
小学生から高齢者まで、本気でマジックを学びたい方を徹底的にサポート中。
他では買えない価値のある商品を生み出すことに全力を注いでいる。




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