Criss Angelのレストラン「Cablp」徹底レビュー―ラスベガス郊外に佇む“マインドフリーク”な食卓

Criss Angelのレストラン「Cablp」徹底レビュー―ラスベガス郊外に佇む“マインドフリーク”な食卓 マジシャン最新情報

Criss Angelといえば、かつて『Mindfreak』で世界中を熱狂させ、今やラスベガスの顔の一人として君臨するスーパースターだ。そんな彼が、ベガスの喧騒から遠く離れた砂漠の真ん中でレストランを経営しているのを知っているだろうか。その名も「Cablp」。一見すると読み方に迷うこの店は、マジシャンたちの間でも密かな話題(あるいはネタ)になってきた場所だ。

今回紹介するのは、Genii MagicのVanessa Armstrongが取り上げた、ある熱狂的な……いや、ある意味で「呪われた」巡礼の記録だ。ライターのLibby Watsonが、なんと往復800マイル(約1,280km)もの距離を走ってこの店を訪れ、その全貌を赤裸々に綴っている。マジシャンとしてのブランディング、そして一人の興行師が作る「食」の世界がどのようなものか、同業者として興味を惹かれずにはいられない内容だ。

この記事では、Libby Watsonの体当たりレビューを通じて、Criss Angelという巨大なアイコンが地方のダイナーにどのような魔法を(あるいは幻滅を)かけているのかを紐解いていく。プロマジシャンなら、自分自身の名前を冠したビジネスをどう展開すべきか、その反面教師的な、あるいは愛すべき教訓が見つかるかもしれない。

ラスベガス郊外に誕生したCriss Angelの聖地「Cablp」とは

ラスベガス郊外に誕生したCriss Angelの聖地「Cablp」とは

まず、この風変わりな店名について整理しておこう。「Cablp」は、Breakfast, Lunch, and Pizzaの頭文字を取ったものだ。Genii MagicのVanessa Armstrongによれば、読み方はおそらく「カブリップ(Ca-blip)」だろうとのことだが、その響きからしてすでにどこか奇妙な空気が漂っている。

この店がオープンしてから数年が経つが、日本のマジシャンがふらりと立ち寄れるような場所にはない。舞台はネバダ州オーバートン。ラスベガスのストリップ地区から車を走らせ、荒涼とした砂漠を突き進んだ先にある小さな町だ。Criss Angelはこの地に、自身のルーツやこだわりを詰め込んだ「食の拠点」を作り上げたのである。

ネバダ州オーバートンという絶妙な立地

オーバートンという立地について、Cablpの公式サイトでは「ラスベガスから45分」と謳われている。しかし、Libby Watsonが実際にGoogle Mapsで調べたところ、交通渋滞がまったくない状態でも1時間はかかることが判明した。Vanessa Armstrongはこの点について、同氏の記事内で「面白いくらいにどうでもいい嘘」と評している。

確かに、わざわざこの店を目指してやってくる客にとって、15分の差が命取りになることはないだろう。だが、こうした小さな「誇張」がいかにもマジシャンらしいというか、Criss Angelらしい演出の一環のように感じられてしまうのは、我々の職業病かもしれない。砂漠の果てに、自分だけの王国を築く。その行為自体が、一種の巨大なイリュージョンのようでもある。

[SEARCH_YOUTUBE: Mindfreak by Criss Angel]

Libby Watsonによる「800マイルの巡礼」と執念のレビュー

Libby Watsonによる「800マイルの巡礼」と執念のレビュー

このレビューが特別なのは、Libby Watsonが単なる「ついで」で店を訪れたわけではないという点だ。彼女はロサンゼルスに住んでおり、オーバートンまではかなりの距離がある。ではなぜ、彼女はわざわざ砂漠のダイナーへと向かったのか。そこには、SNS時代のチャリティが生んだ数奇な物語があった。

Libby Watsonは、移民支援基金(Immigrant Rapid Relief Fund)のための募金活動を行っていた際、「もし寄付額が10万ドルを超えたら、Criss Angelのレストランまで車で行く」というストレッチゴールを掲げたのだ。彼女自身、まさかその金額に達するとは思っていなかったようだが、結果として集まったのは12万3,000ドル。約束は果たされなければならなかった。

チャリティが生んだ奇跡の(?)訪問

こうして彼女は、夫を連れて800マイルのドライブを敢行することになった。彼女がDefector誌に寄稿した記事は、マジック業界でも一部で知られるHarrison Greenbaum(コメディアン・マジシャン)が以前に語っていたエピソードを凌ぐほど、詳細で愛に溢れた(?)ものとなっている。

彼女は幼少期、イギリスの自室でアメリカの奇妙なロードサイド文化に憧れを抱いていたという。世界最大の椅子や、脈絡のない巨大なオブジェ。そうした「理屈では説明できない、ただそこにあるだけの奇妙なもの」を愛でる精神が、このCablpを訪れるには必要だったのだと彼女は語っている。マジックもまた、ある種の「奇妙な非日常」を売る商売であることを考えると、この視点は非常に興味深い。

料理の味から「15分の嘘」まで――赤裸々な体験談

料理の味から「15分の嘘」まで――赤裸々な体験談

さて、肝心のレストランとしてのクオリティはどうだったのか。Libby Watson夫妻は、店名にある通り「朝食(B)」「昼食(L)」「ピザ(P)」のすべてを注文するという、徹底した調査を行った。プロマジシャンがギミックの細部を検証するように、彼女は皿の上の真実を暴いていった。

結論から言えば、料理の評価は「至って普通」あるいは「中の下」といったところだったようだ。多くのメニューが冷凍食品を再加熱したような、アメリカの典型的なダイナーの域を出ないものだった。しかし、そんな中でも彼女の心を捉えた一品があった。それが、Criss Angelの代名詞を冠した「Mindfreak Mango」というイタリアンアイスだ。

賞味期限切れのイタリアンアイスと「普通」のピザ

Libby Watsonによれば、そのマンゴーアイスは非常に美味しかったという。ただし、容器の底を確認したところ、賞味期限が3ヶ月前に切れていたというオチがついている。これにはVanessa Armstrongも苦笑を禁じ得なかったようだが、これもまた「Criss Angelの魔法」の一部として受け入れるべきなのかもしれない。

また、店内の装飾やWebサイトの作りについても、彼女の鋭いツッコミが入っている。Google Mapsの画像を加工して距離を短く見せかけたり、店内にはCriss Angelの栄光を称える写真が並んでいたりと、全方位にわたって「自己顕示欲」が爆発している。だが、彼女はそれを決して否定はしていない。むしろ、その矛盾だらけの空間を、アメリカという国が持つ混沌の象徴として楽しんでいる節がある。

なぜマジシャンはこの「矛盾」に惹かれるのか

なぜマジシャンはこの「矛盾」に惹かれるのか

Libby Watsonは記事の締めくくりに、驚くべき言葉を残している。「私はあそこに行って本当によかった。また行くつもりだし、あの店が潰れないことを願っている。ラスベガスの派手なネオンや高級寿司店よりも、Cablpが長生きしてほしい」と。この一見すると矛盾した愛情は、我々マジシャンが抱く「マジックへの感情」に似ているのではないだろうか。

マジックとは、嘘を売る商売だ。現実にはあり得ないことを、あたかも真実であるかのように見せる。Cablpという店もまた、砂漠の真ん中に「ベガスからすぐ」という幻想を植え付け、賞味期限切れのアイスを「至高の逸品」として提供する、ある種のイリュージョンの場なのかもしれない。

Criss Angelというブランドが放つ独特の引力

Criss Angelという人物は、常に賛否両論を巻き起こしてきた。過剰な演出、派手なプレゼンテーション、そして強烈なキャラクター。しかし、彼がこれほどまでに長く一線で活躍し、自分の名前だけで砂漠に客を呼び寄せることができるのは、彼自身が「唯一無二のブランド」として成立しているからに他ならない。

Libby Watsonのレビューを読み終えると、不思議とCablpに行ってみたくなってしまう。それは料理が食べたいからではなく、その「奇妙な空間」を体験したいという欲求だ。マジシャンにとっての成功とは、単に技法が上手いことではなく、「この人の世界を覗いてみたい」と思わせる引力を持つことなのだと、この砂漠のダイナーは教えてくれている気がする。

まとめ:この記事のポイント

今回のGenii Magicによる紹介記事、そしてLibby Watsonによる壮絶なレビューから学べることは多い。プロマジシャンとして、あるいはビジネスマンとして、以下のポイントは心に留めておいて損はないだろう。

  • ブランディングは場所を選ばない: 砂漠の真ん中であっても、強烈なキャラクターがあれば人は800マイル走ってくる。
  • ストーリーの重要性: チャリティや「罰ゲーム」といった文脈が、単なる食事を「巡礼」へと変える。
  • 矛盾を愛でる心: 完璧であることよりも、「ツッコミどころ」があることの方が、人々の記憶には深く刻まれる。
  • マジシャンとしての誠実さ(?): Webサイトの表記から賞味期限まで、すべてが「演出」だと思えば腹も立たない……かもしれない。

もし君がラスベガスを訪れる機会があり、レンタカーを借りて砂漠を走る勇気があるなら、ぜひオーバートンまで足を伸ばしてみてほしい。そこには、最新のイリュージョン・ショーでは味わえない、Criss Angelの生のエネルギー(と、もしかしたら期限切れの美味しいアイス)が待っているはずだ。

出典

  • Genii Magic「Criss Angel’s Cablp, A Perfect Review」
  • Defector「I Traveled 800 Miles To Eat Breakfast, Lunch, And Pizza At Criss Angel’s Breakfast, Lunch, And Pizza」(Libby Watson)
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