Dan&Daveの「Uzumaki」というトランプマジックを練習しているときのことです。
解説の中で、ダンがこんなことを言っていました。
ここでハーフパスを使ってもいいけど、誰があんな技法を好んで使おうって言うんだ? 最初からひっくり返しときゃいいじゃないか。
Dan from Uzumaki
ちょっと濁していますが、大体こんな感じです。
いや、いいと思うよ、そこであの技法使っても。
と、静かな寝室で一人ツッコんでしまいましたが、一瞬考えて、これは時代性かな?と思い始めました。
演技のスムースさだけを考えての発言ではないような気がしてならなかったのです。
もしかしたら、もうそのトランプマジックの技法は死んでいるのではないか?
もう時代遅れなのではないか?
約10秒後には、そんなことまで考えている自分がいました。
クラシックパスは、時代遅れの典型例
少しクラシックパスの話をしましょう。
むかしは、トランプマジックをするなら、クラシックパスは必須技法だという風潮がありました。
お前、マジックするならクラシックパスだけは絶対に習得しとけよ。
みたいな。
確かに、昔はコントロールの技法が今の10分の1くらいしか存在しておらず、マジシャンにとって、パスは必須技法の1つだったと言えます。
それが、今はどうだろう。
パスに変わる実用性の高いトランプマジックの技法が数多く発表され、コントロールにパスを使う人はごく少数になりました。
死語ならぬ、死技法とも言うべきか、それほどクラシックパスを使うマジシャンは減ってきています。
おかしなことに、今日、某動画共有サイトでは、パスは速さを競う自慢大会になっちゃってる。
どうだい、俺はこんなに高速でパスができるんだぜ? すごいだろ?
もうそれに飽きた人も、きっと大勢いるはずです。
会話もミスディクレクションもないから、実用性は限りなくゼロに等しく、常にカメラの前でしか演じない。
いつの間にか、そんな技法になってしまいました。
プロマジシャンの中には実践で使いこなしている人もいるかもしれませんが、ごく少数です。
ダイ・バーノンは意図してなかったみたいだけどダブルカットや、エド・マーローのコンビンシングコントロールなどを使う人が圧倒的に増えました。
そりゃ使いやすいんだから、パスよりもダブルカットを選ぶに決まってます。
両方の目的(トップコントロール)は同じですから、わざわざパスを使う理由はどこにもありません。
でも、それで正解です。
それが時代の流れだから。
クラシックパスが死んでいるとは言いません。
しかし、パスに変わる多くの素晴らしいコントロールが溢れている現代のトランプマジック界において、もうパスに固執する必要はないと言えます。
そこで本当にパスが必要なのか?
と聞かれて、堂々とイエスと答えることが出来る人は、きっと少ないはず。
それなら、もっと実用的な技法に変えなよ。と。
いつまでそんな昔の方法を使っているの?と。
そこは、キミ。そこだけは、キミ、時代に乗りなよ。と。
古い技法に固執するのは、素人マジシャン
今はメンタリズムが主流だからメンタルマジックばかりをやりましょう。と言っているわけではありません。
変化に適応し、時代を可視化出来るマジシャンになることです。
少し前に、トランプマジックのカード当てで使える「ファンシー・コントロール」というコントロールを紹介しましたが、確かあの技法が解説されている「ルポールのカードマジック」という本は原著で1949年出版です。
なんと、60年以上前。
60年前のそれを現代風に改変したのが、以前紹介した方法になります。
今の時代で、原著のやり方をそのまま使ってしまうと、どこかつまらないんです。
それはまるで、デジタル時代のハト時計のように。
だから、チョチョイといじって現代風のトランプマジック(コントロール)にする必要があった。
温故知新で攻めるか、オリジナルで勝負するか。
どんな方法でもいいです。
現代において違和感のない技法を選び、必要ならば今風に改変しましょう。
それが、時代を読んだ演技スタイルというものです。
マジックショップ「MAGIC SECRETS」の店長。
運営理念は、「“本当に使える”マジックしか販売しない。」
自らの商品をきっかけに初心者からプロマジシャンになった顧客が大勢いる。
小学生から高齢者まで、本気でマジックを学びたい方を徹底的にサポート中。
他では買えない価値のある商品を生み出すことに全力を注いでいる。
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